ゴッホ「火のついたタバコをくわえた骸骨」とは?アントワープの美術学校で描いた若い冗談

アムステルダムのゴッホ美術館にある、黒い背景の前でタバコをくわえる骸骨

フィンセント・ファン・ゴッホ「火のついたタバコをくわえた骸骨」(1886年1〜2月)アムステルダム、ゴッホ美術館所蔵

「火のついたタバコをくわえた骸骨」とは

真っ黒な背景から、骸骨の頭と肩が浮かび上がっています。歯のあいだには、火のついた細いタバコ。フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890年)が1886年に描いた「火のついたタバコをくわえた骸骨」です。

所蔵はアムステルダムのゴッホ美術館です。館の作品ページによると、1886年1月から2月に、ベルギーのアントワープで描かれました。カンヴァスに油彩で、大きさは縦32.3cm、横24.8cmと小さな絵です。

館は、火のついたタバコをくわえたこの骸骨を「若い冗談」と紹介しています。

フィンセント・ファン・ゴッホ「火のついたタバコをくわえた骸骨」(1886年)骸骨の頭とタバコの部分。ゴッホ美術館所蔵

制作の背景、アントワープの美術学校

ゴッホ美術館によると、ゴッホはこの絵を、1886年のはじめ、アントワープの美術学校で学んでいた頃に描きました。その前の年には、「ジャガイモを食べる人々」など、オランダの農民の暮らしを暗い色で描いていました。

館によると、骸骨を素描することは、美術学校のふつうの課題でした。けれども、骸骨を油彩で描くことは、授業には入っていませんでした。そのため、ゴッホはこの絵を、授業のあいまか、授業のあとに描いたはずだと館は説明しています。

アントワープのあと、ゴッホは1886年から1888年までパリで暮らし、明るい色を使うようになっていきます。翌1887年の夏には、明るい色の「麦わら帽子の自画像」を描いています。

技法と色彩、解剖を学んだ確かな筆

ゴッホ美術館は、この絵から、ゴッホが人体の解剖をよく身につけていたことがわかると紹介しています。

骸骨は少し右を向き、下あごを引いています。頭蓋骨の丸み、目の穴のくぼみ、ほお骨、歯の並びが、明るい黄土色や白、暗い茶色の筆の跡で描き分けられています。光は左上から当たり、頭蓋骨の上や鼻のまわりが明るく描かれています。

首の骨や鎖骨、肩の骨も、太い筆の跡で立体的に描かれています。背景は黒に近い暗い色で塗られ、骨の明るさが浮かび上がって見えます。

タバコは、白と灰色の細い筆の跡で描かれ、先には小さな火が点のように置かれています。

フィンセント・ファン・ゴッホ「火のついたタバコをくわえた骸骨」歯とタバコのディテールフィンセント・ファン・ゴッホ「火のついたタバコをくわえた骸骨」頭蓋骨と目の穴のディテールフィンセント・ファン・ゴッホ「火のついたタバコをくわえた骸骨」首の骨のディテールフィンセント・ファン・ゴッホ「火のついたタバコをくわえた骸骨」鎖骨と肩の骨のディテール

パイプを手放さなかったゴッホ

ゴッホ自身も、タバコをよく吸う人でした。ゴッホ美術館のよくある質問のページによると、ゴッホはパイプが大好きで、絵を描いているときも、そうでないときも、いつもパイプを吸っていました。

館によると、ゴッホはお酒もよく飲みましたが、仕事をしながら飲んではいなかったようです。パリでは飲みすぎることがあり、それが1888年にパリを離れた理由のひとつだったと館は説明しています。

アルルでゴッホは、テオへの手紙に、絵を仕上げるのは、30分のあいだに千ものことを同時に考えなければならない、骨の折れる仕事だと書いています。そのあとで気持ちをなぐさめ、気をまぎらせてくれるのは、強い酒を飲むか、タバコをたくさん吸うことだけだ、とも書いています。

1888年にアルルで描いた「ゴッホの椅子」でも、椅子の上にはパイプとたばこの袋が置かれています。

若い頃の練習から、のちの名作へ

この骸骨は、ゴッホが美術学校で人体を学んでいた時期の1枚です。のちのゴッホの代表作のような、明るい色や渦を巻く筆の跡はまだありません。

このあとパリでは、蚤の市で買った古い作業靴を描いた「靴」など、身近な物の静物画も描いています。

Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを扱っています。

「火のついたタバコをくわえた骸骨」を見るには、ゴッホ美術館

「火のついたタバコをくわえた骸骨」は、アムステルダムのゴッホ美術館が所蔵しています。2026年11月4日に館の作品ページを見た時点では、「展示中」の表示はありませんでした。見に行く前に、館のサイトで展示の状況を確かめてください。

館の案内によると、入館料は大人25ユーロで、2027年1月1日からは26ユーロになります。18歳未満は無料です。開館はおおむね毎日9時からで、閉館は時期によって17時か18時、金曜日は21時までの日があります。

Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを扱っています。ゴッホ「星月夜」をモチーフにしたスノードームやポスター、扇子など、日常を彩るアートグッズをお届けします。

よくある質問

ゴッホの「タバコをくわえた骸骨」はどこにある?

アムステルダムのゴッホ美術館が所蔵しています。2026年11月4日時点で、館の作品ページに展示中の表示はありませんでした。

いつ描かれた?

ゴッホ美術館によると、1886年1月から2月に、ベルギーのアントワープで描かれました。ゴッホが美術学校で学んでいた頃です。

なぜ骸骨にタバコをくわえさせたの?

ゴッホ美術館は、この絵を「若い冗談」と紹介しています。骸骨の素描は美術学校の課題でしたが、油彩で描くことは授業に入っておらず、授業のあいまか、授業のあとに描いたと考えられています。

大きさは?

ゴッホ美術館の記録では、縦32.3cm、横24.8cmです。カンヴァスに油彩で描かれています。

ゴッホの絵のグッズはどこで買える?

Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを販売しています。ゴッホ「星月夜」をモチーフにしたスノードーム、ポスター、扇子など、日常を彩るアートグッズをお届けしています。