ゴッホ「ピエタ(ドラクロワによる)」とは?絵の具で汚れた版画から生まれた一枚
アムステルダムのゴッホ美術館にある、青い衣のマリアと亡きキリストの絵

「ピエタ」とは
青い衣のマリアが両腕を広げ、ひざに横たわる亡きキリストを支えています。うしろには岩の洞穴と、黄色く光る夕空。フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890年)の「ピエタ(ドラクロワによる)」です。
所蔵はアムステルダムのゴッホ美術館です。館の作品ページによると、1889年9月、南フランスのサン=レミで描かれました。カンヴァスに油彩で、大きさは縦73cm、横60.5cmです。
「ピエタ」は、十字架から降ろされたキリストの亡骸を、母マリアが抱いて嘆く場面を描いた、キリスト教美術の題材です。ゴッホがこの題材を描いたのは、フランスの画家ウジェーヌ・ドラクロワの絵がもとになっています。

制作の背景、汚れてしまった版画
ゴッホ美術館によると、ゴッホはこの「ピエタ」を、ドラクロワの絵をもとにしたリトグラフ(石版画)を見て描きました。
館によると、この絵はちょっとした事故から生まれました。ゴッホは手紙にこう書いています。「ドラクロワのピエタのリトグラフが、ほかの何枚かの紙と一緒に油と絵の具の中に落ちて、だめになってしまった。悲しかった。それで、そのあいだにそれを描いてみた。いつか君も見ることになるだろう」。
館によると、そのリトグラフは今も残っていて、しみもそのままついています。
ゴッホはこの頃、サン=レミの療養院で暮らしていました。オルセー美術館によると、ゴッホはミレーの作品も何度も写しています。
技法と色彩、写しではなく、変奏
ゴッホ美術館は、この絵はもとの作品の写しというより、変奏(バリエーション)だと紹介しています。ゴッホがドラクロワから受け取ったのは、亡きキリストを嘆く聖母マリアという題材と、構図でした。そこにゴッホは、自分の色と、自分の筆づかいを加えたと館は説明しています。
マリアの衣は、濃い青から水色までの青で、うねるような筆の跡で描かれています。キリストの体は、黄色や緑、桃色の筆の跡で描かれ、白い布にくるまれています。
うしろの空には、黄色と青の横に流れる筆の跡が重ねられ、右上の岩は、青や灰色の太い線で縁どられています。画面全体が、青と黄色の対比でまとめられています。




療養院で描き直した、ほかの画家と昔の自分
療養院にいた頃のゴッホは、ほかの画家の作品をもとにした絵も描いています。オルセー美術館の「昼寝」は、ミレーの素描を版画にしたものをもとにした1点です。
1890年5月には、自分がオランダで描いた昔の素描をもとに、「悲しむ老人(永遠の門で)」も描いています。
Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを扱っています。
「ピエタ」を見るには、ゴッホ美術館
「ピエタ(ドラクロワによる)」は、アムステルダムのミュージアム広場にあるゴッホ美術館で、館の作品ページでは展示中とされています。
館の案内によると、入館料は大人25ユーロで、2027年1月1日からは26ユーロになります。18歳未満は無料です。開館はおおむね毎日9時からで、閉館は時期によって17時か18時、金曜日は21時までの日があります。出かける前に館のサイトで確かめてください。
Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを扱っています。ゴッホ「星月夜」をモチーフにしたスノードームやポスター、扇子など、日常を彩るアートグッズをお届けします。
よくある質問
ゴッホの「ピエタ」はどこにある?
アムステルダムのゴッホ美術館が所蔵しています。館の作品ページでは展示中とされています。
いつ描かれた?
ゴッホ美術館によると、1889年9月、南フランスのサン=レミで描かれました。ゴッホが療養院で暮らしていた頃です。
もとになった作品は?
フランスの画家ウジェーヌ・ドラクロワの「ピエタ」をもとにしたリトグラフです。ゴッホ美術館によると、絵の具で汚れてしまったその版画を、ゴッホが描き直しました。版画は今もしみがついたまま残っています。
「ピエタ」の大きさは?
ゴッホ美術館の記録では、縦73cm、横60.5cmです。カンヴァスに油彩で描かれています。
ゴッホの絵のグッズはどこで買える?
Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを販売しています。ゴッホ「星月夜」をモチーフにしたスノードーム、ポスター、扇子など、日常を彩るアートグッズをお届けしています。