ゴッホ「オリーブの木」とは?「土のにおいがする」と書いた、サン=レミのオリーブ畑

ニューヨークのメトロポリタン美術館にある、点描の空と紫の地面のオリーブ畑

フィンセント・ファン・ゴッホ「オリーブの木」(1889年)ニューヨーク、メトロポリタン美術館所蔵

「オリーブの木」とは

ねじれた幹のオリーブの木が、横一列に並んでいます。空は細かな点の重なりで描かれ、地面には紫と黄土色の帯がうねっています。フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890年)が1889年に描いた「オリーブの木」です。

所蔵はニューヨークのメトロポリタン美術館です。館の記録によると、カンヴァスに油彩で、大きさは縦72.7cm、横92.1cmです。

館によると、この絵は、ゴッホが1889年11月に描いたオリーブ畑の絵5点のうちの1点です。ゴッホはその頃、南フランスのサン=レミの療養院で暮らしていました。

フィンセント・ファン・ゴッホ「オリーブの木」(1889年)オリーブの木の並びと地面の部分。メトロポリタン美術館所蔵

制作の背景、ゴーギャンとベルナールへの答え

ゴッホは1889年の春から約1年、サン=レミの療養院で暮らし、まわりの糸杉やオリーブ畑をくり返し描きました。

メトロポリタン美術館によると、1889年11月のオリーブ畑の絵は、ポール・ゴーギャンとエミール・ベルナールが少し前に描いた作品に応えるものでした。

これに対してゴッホは、自然を前にして、じかに描きました。館は、ゴッホの言葉を引いています。「私がしたことは、彼らの抽象にくらべると、かなり荒っぽく、ごつごつした写実だ。それでも、田舎らしい調子を伝え、土のにおいがするだろう」。

技法と色彩、点描の空と、くだけた色

メトロポリタン美術館によると、この絵は自然をじかに見て描かれていますが、スーラのような点描と、色を小さく分けて置いた様式的な部分によって、生き生きとしたものになっています。

空は、水色や桃色、白、黄色の小さな点や短い筆の跡が、すき間なく並べられています。ところどころに、黄色い雲が厚い絵の具で渦のように置かれています。

オリーブの葉は、濃い緑と黄緑の短い筆の跡で描かれ、ねじれた幹は緑と赤茶色の線で縁どられています。地面には、紫と黄土色の帯が交互に現れ、うねるように描かれています。

点で埋めた空と、うねる線の地面という、2つの違う描き方が、1枚の画面の中で組み合わされています。

フィンセント・ファン・ゴッホ「オリーブの木」点描の空と黄色い雲のディテールフィンセント・ファン・ゴッホ「オリーブの木」オリーブの葉の茂みのディテールフィンセント・ファン・ゴッホ「オリーブの木」ねじれた幹と切り株のディテールフィンセント・ファン・ゴッホ「オリーブの木」紫と黄土色の地面のディテール

同じ館の「オリーブを摘む女たち」

メトロポリタン美術館には、オリーブ畑を描いたゴッホの絵がもう1点あります。「オリーブを摘む女たち」です。館によると、ゴッホは1889年の終わりに、この絵を3点描きました。

1点目は自然を見て描いた、より色の濃い、おごそかな調子の習作で、個人蔵です。2点目はアトリエで描いた、とても控えめな色の1点で、ワシントン・ナショナル・ギャラリーにあります。メトロポリタン美術館の1点は、3点のうちでいちばん仕上げられ、様式化されたものです。

館によると、この3点目は、ゴッホが妹と母に贈るつもりで描いたものでした。ゴッホは2人への手紙に、オリーブ畑の女たちの絵が少しでも気に入ってくれるといい、その素描をゴーギャンに送ったら、よいと言ってくれた、と書いています。

館の来歴の記録によると、「オリーブの木」は、のちにイギリスの収集家ヴィクター・シュスターが手に入れるとき、この「オリーブを摘む女たち」との交換も使われました。2点は、のちに同じアネンバーグ夫妻のコレクションに入り、今は同じ館にあります。

フィンセント・ファン・ゴッホ「オリーブを摘む女たち」(1889年)ニューヨーク、メトロポリタン美術館所蔵

テオに送られた1枚

メトロポリタン美術館の来歴の記録によると、ゴッホは1890年1月3日に、この「オリーブの木」をパリの弟テオに送りました。テオが1891年に亡くなったあとは、妻ヨーが、息子フィンセント・ウィレムのために預かりました。

ヨーが1925年に亡くなると、絵は息子のものになり、1926年に売られます。その後、ロンドンの収集家、ロンドンやチューリヒ、ニューヨークの画商を経て、1954年5月にアメリカのウォルター・アネンバーグ夫妻のものになりました。

1998年からはメトロポリタン美術館と共同で持つ形になり、今は館の822番の展示室で展示中とされています。

療養院のまわりの木々

サン=レミの療養院にいるあいだ、ゴッホは身近な木々をくり返し描きました。1889年6月には、同じメトロポリタン美術館にある「糸杉」を描いています。

糸杉が空に向かってのびる縦の形なら、オリーブはねじれた幹が横に広がる形です。メトロポリタン美術館によると、オリーブ畑は1889年11月だけで5点描かれています。

Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを扱っています。

「オリーブの木」を見るには、メトロポリタン美術館

メトロポリタン美術館の「オリーブの木」は、館の作品ページで822番の展示室に展示中とされています。同じ展示室には「オリーブを摘む女たち」も展示中とされています。

館の案内によると、開館は10時から17時で、金曜と土曜は21時まで、水曜日は休館です。入館料は大人30ドルです。展示室は替わることがあるので、出かける前に館のサイトで確かめてください。

Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを扱っています。ゴッホ「星月夜」をモチーフにしたスノードームやポスター、ストールなど、日常を彩るアートグッズをお届けします。

よくある質問

ゴッホの「オリーブの木」はどこにある?

ゴッホはオリーブ畑を何点も描いています。この記事の「オリーブの木」(1889年)は、ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵しています。館の作品ページでは822番の展示室に展示中とされています。

いつ描かれた?

メトロポリタン美術館によると、1889年11月です。ゴッホがこの月に描いたオリーブ畑の絵5点のうちの1点です。

「オリーブの木」の大きさは?

メトロポリタン美術館の記録では、縦72.7cm、横92.1cmです。カンヴァスに油彩で描かれています。

ゴッホはこの絵について何と言っている?

メトロポリタン美術館によると、ゴーギャンやベルナールの抽象にくらべると荒っぽい写実だが、田舎らしい調子を伝え、土のにおいがするだろう、と書いています。

ゴッホの絵のグッズはどこで買える?

Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを販売しています。ゴッホ「星月夜」をモチーフにしたスノードーム、ポスター、ストールなど、日常を彩るアートグッズをお届けしています。