ゴッホ「花咲く果樹園」とは?アルルの春に14点描いた果樹の、熊手のある一枚
ニューヨークのメトロポリタン美術館にある、赤い枝がのびる春の果樹園

「花咲く果樹園」とは
赤茶色の枝が、画面を斜めに横切るようにのびています。枝の先には、芽吹いたばかりの黄緑の葉と白い花。足もとには緑の草が広がり、木の根もとには熊手が立てかけられています。フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890年)が1888年の春に描いた「花咲く果樹園」です。
所蔵はニューヨークのメトロポリタン美術館です。館の記録によると、カンヴァスに油彩で、大きさは縦72.4cm、横53.3cmの縦長の絵です。左下に「Vincent」の署名があります。
館によると、ゴッホは1888年3月の終わりから4月の終わりにかけて、果樹園の絵を14点描きました。この絵は、そのうちの1点です。

制作の背景、「仕事に夢中」のアルルの春
ゴッホは1888年2月に、パリから南フランスのアルルに移りました。メトロポリタン美術館によると、アルルに春が来たとき、ゴッホは「仕事に夢中」になっていました。
ゴッホは弟テオへの手紙に、「木々が花を咲かせている。とても陽気なプロヴァンスの果樹園を描きたい」と書いています。館によると、ゴッホは3月の終わりから4月の終わりまでのあいだに、14点のカンヴァスをこの題材に費やしました。大きさも、縦長か横長かも、描き方も、いろいろに変えています。
同じ頃にゴッホが描いた「花咲く桃の木(モーヴの思い出)」も、この果樹の連作の1点です。クレラー=ミュラー美術館は、ゴッホがそちらを連作の中でもっともうまくいった1点と考えていたと紹介しています。
メトロポリタン美術館の来歴の記録によると、ゴッホは1888年5月7日ごろ、この「花咲く果樹園」をパリのテオに送りました。
技法と色彩、浮世絵への憧れと、斜めの枝
メトロポリタン美術館によると、この絵の構図は、芽吹いたばかりの木々の、角ばって細長い枝が大きな部分を占めています。館は、それがゴッホの日本の浮世絵への憧れを表していると説明しています。
画面を見ると、赤茶色の枝が太い線で描かれ、ジグザグに曲がりながら画面を横切っています。その先の葉や花は、黄緑や白、水色の短い筆の跡で描かれています。空はうすい灰色がかった色で、枝の形がくっきりと浮かび上がります。
足もとの草は、緑の地に、赤やオレンジ、白の縦の筆の跡が重ねられています。奥には、同じように枝を広げた果樹が並んでいます。
館によると、この絵には大鎌と熊手が描かれていて、果樹園の絵の中で人の気配をほのめかしているのは、2点しかないうちの1点です。




ハーグのブレマーの手を経て、ニューヨークへ
メトロポリタン美術館の来歴の記録によると、テオが1891年に亡くなったあと、この絵はテオの妻ヨーのものになりました。1904年にはロッテルダムの画廊にありました。
同じ1904年、絵はハーグのH. P. ブレマーのものになります。ブレマーは1955年までこの絵を持っていて、1924年からはハーグの市立美術館に貸し出していました。
1955年、絵はアムステルダムの画廊、そしてニューヨークの画商を経て、1956年にメトロポリタン美術館に売られました。
花咲く木を描きつづけたゴッホ
アルルの最初の春、ゴッホは果樹の花を14点描きました。その中には、恩師アントン・モーヴに捧げた「花咲く桃の木」もあります。
2年後の1890年には、サン=レミの療養院で、青い空を背にした白い花の枝を描いています。アムステルダムのゴッホ美術館にある「アーモンドの花」です。
Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを扱っています。
「花咲く果樹園」を見るには、メトロポリタン美術館
メトロポリタン美術館の「花咲く果樹園」は、館の作品ページで825番の展示室に展示中とされています。
館の案内によると、開館は10時から17時で、金曜と土曜は21時まで、水曜日は休館です。入館料は大人30ドルです。展示室は替わることがあるので、出かける前に館のサイトで確かめてください。
Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを扱っています。アルル時代のゴッホ「アルルの寝室」のポスターや、「ローヌ川の星月夜」のスノードームなど、日常を彩るアートグッズをお届けします。
よくある質問
ゴッホの「花咲く果樹園」はどこにある?
ゴッホは果樹園の絵を何点も描いています。この記事の「花咲く果樹園」(1888年)は、ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵しています。
いつ描かれた?
1888年の春、南フランスのアルルで描かれました。メトロポリタン美術館によると、ゴッホは3月の終わりから4月の終わりにかけて、果樹園の絵を14点描いています。
「花咲く果樹園」の大きさは?
メトロポリタン美術館の記録では、縦72.4cm、横53.3cmです。カンヴァスに油彩で描かれています。
この絵のどこが特別?
メトロポリタン美術館によると、大鎌と熊手が描かれていて、果樹園の絵の中で人の気配をほのめかしている2点のうちの1点です。角ばった枝の構図には、浮世絵への憧れが表れているとされています。
ゴッホの絵のグッズはどこで買える?
Museum Boxでは、フランス国立美術館連合(RMN-GP)のミュージアムグッズを販売しています。「アルルの寝室」のポスターや「ローヌ川の星月夜」のスノードームなど、日常を彩るアートグッズをお届けしています。